東京在住のPさん(35歳)は、独身で、一部上場の企業に勤め、給料も手取りで40万円ほどあったため、裕福な生活を送っていました。仕事も順調で同期の中でも、出世頭であったPさんでしたが、彼女には恵まれず、何かいい出会いはないかと考えていました。
ある日、いつものように会社の同僚と飲んでいると、隣にいた3人の女性組と話が合い、それから時々一緒に飲むようになりました。そのうちに、その中の1人の女性にPさんは好意を持ち始めました。そして出会ってから数ヵ月後、二人っきりで会うようになり、自然な形で付き合うようになりました。
付き合っていくうちに、彼女は、父親が病弱で、母が代わりに働いており、最近母も体調が悪く、自分が仕送りしていることなど、いろいろな話をしてくれました。彼女が好きで好きでたまらなかったPさんは、毎月10万円ほどを「彼女の両親に渡して欲しい」と彼女に手渡していました。
ある時、彼女から夜中に泣いて電話があり、「父親が癌になって、すぐに手術をしなければ手遅れになると言われた」というのです。Pさんは結婚も考えていたので、自分の義理の父親になる人のためだと思い、銀行やVIPカードのキャッシング機能を使い、合計500万円(毎月25〜30万の返済)を借り入れました。そして、すぐに彼女にそれを渡しに行くと、彼女は泣いて喜んでくれました。その足で、彼女を駅まで送り、その日、Pさんは満足感でいっぱいでした。
しかし、その後1週間経っても何も連絡がありません。おかしいと思ったPさんは、携帯電話に連絡をしたのですが、既に解約されていました。徐々に、不安になって同僚に連絡したところ、3人ともが同じような手口で、金銭を騙し取られたのです。すぐに警察に駆け込みましたが、結局行方は分からず、お金は戻ってくることはありませんでした。残ったのは借金だけという現実に、絶望すら覚えたPさんでしたが、このままではどうしようもないと思い、法律に詳しい知り合いに相談した所、「「任意整理」っていう方法はあるが、どこも利息が低いからやっても意味が無いから、「自己破産」しかないだろう」ということでした。Pさんは頭が真っ白になり、涙が止まらなかったのですが、最後の願いを託し、司法書士事務所に相談に行きました。 |